パンチラ追って知らない街へ

すべて作り話です

ある夏の歴史的瞬間

そうそうこれだ この暑さ これが夏だった

わすれかけていた去年の夏がよみがえるような暑さがやってきた 気づけばセミはせわしなく鳴いているし 朝起きたら汗だくだし これでもかというくらい冷えた麦茶がおいしい 街へ出れば容赦なく降り注ぐ 焼け付くような太陽と どこを見てもなんだか色の濃い街の景色 だいすきな夏はまだ 始まったばかり。

先日 幼馴染がお母さんになりまして とても感慨深い気持ちになると同時に大きな幸せをおすそ分けしてもらった じぶんの体からもうひとり人間が出てくるというのは一体どういう感覚なんだろう 考えてみようともまるで想像がつかない 親からよく聞いていた鼻からバスケットボールがでるほど痛い みたいな比喩はなんだか現実味がわかなくて いやきっと自分がその立場になるまで現実味なんて到底わきそうもないのだけれど。

幼馴染のことなのにとにかく果てしなく 他人事のように思ってしまえた。わたしと同じ年月を生きてきて わたしにとっていつもと変わらないあの日のあの数時間に幼馴染は 人生のうちで極めて歴史的な瞬間を過ごしたわけで 自分より大切なかけがえのない誕生日を迎えたわけで 母親という肩書きを得たわけで。

わたしはまだしがない大学生をやっているし自分の子供を産むなんていうのは まだ先の先の未来のお話だと思っている 案外そう遠くない未来なのかもしれないね 幼馴染はこれから いつもと違う夏を過ごす 自分より大切な人生を育てていくんだ お母さんにならないとわからない喜びや悲しみに直面して お母さんにならないとわからない幸せを感じながら生きていく 一足お先にお母さんになった幼馴染はとてもたくましくみえた おめでとう心から これから訪れるすてきな日々が幸せであふれますように